お客さんに飛びついてしまう犬

お客さんに飛びついてしまう、ということでご相談がありました。

フォックスニアリアはとてもエネルギーがあり、スイッチが入ると興奮してしまう傾向が強い犬種です。そのエネルギーこそが彼らの魅力で、私は大好きなのですが、コントロールできないと大変なことになりかねません。

期待通り『アニー』は私の訪問をとても喜び、飛びついてペロペロなめてくれました。私も喜んでいるのが伝わるので、やめる気配はまったくありません。

そんなアニーですが、何と飼い主さんには飛びつかないというのです。飼い主さんはおとなしそうな方でしたので、とてもアニーをコントロールできるようには見えませんでした。どうやって飛びつかないようにしているのか尋ねると、「本気で叱る」とのこと。

もし、爪がセーターに引っかかってしまったらどんなに大変かと心配すると、本気で叱ってしまうのだそうです。よほどお高いセーターをお召しなのかと思っていると、飼い主さんは「だって、アニーの爪が折れてしまったらどうしましょうと思って」と。

フォックスーテリアの爪にセーターが勝つ?ということでしょうか。それはあり得ない……と言いいかけて、やめました。私の経験では、「犬の爪VSセーター」ですと、セーターから糸が出てしまうこと圧倒的に多い(というかすべて?)かと思うのですが、その気持ちが飼い主さんの本気を引き出すことに役立っているのであれば、そう思い続けていただくのも悪くありません。伝えなかったからといって、飼い主さんの生活に支障をきたすものでもありませんしね。

逆に「すごい迫力で叱つてるんですけどやめないんです」という飼い主さんもいます。

実際はそのほうが多いかと思いますが、犬がやめないのなら、「その犬にとって、ある行動をやめたくなるほどすごい迫力じゃない」と考えるべきでしょう。動物は、本当に嫌なことが起きたらその行動をやめるものです。

やめるほど嫌ではなかったら繰り返しますし、うれしいことが起きたら何度も繰り返します。それが犬が学習する仕組みなのです。

アニーの飛びつきですが、飼い主さん本人に対してはやめさせることができているので、あとは他人に対するときも遠慮せずに叱ればやめてくれるはずです。さすがにお客さまの前ではできないということで、飛びつくかわりに、どうすればもっと良いことが起きるかを教えることにしました。

まず、飼い主さんのアニーに対するコントロールカを上げるために、ベースプログラムに取り組んでもらいました。アニーがお客さまに飛びつこうとしたら「オスワリ」の指示を出し、従ったら「とっておきの」おやつを与えるようアドバイスしました。従わなかったら、淡々と捕まえて八ウスに戻すようにお願いしました。

アニーは明るく素直な性質&食いしん坊でしたので、トレーニングはうまくいきました。

お客さまが来るとおやつがもらえると学習してうれしそうに「オスワリ」をするようになったそうですが、いちばん好きな実家のお母さんにはどうしても飛びついてしまうそうです。お母さんもうれしそうだとのことでした。

それを聞いて密かに、今度伺ったときには「飛びつかれたい!」と思ってしまったダメトレーナーの私でありました(笑)。